スクエア - 「感覚サンセーション」
以前、CDジャケットサイズの20ページくらいの写真集をつくったことがあります。出来上がってきた小さな正方形の写真集は、おしゃれな感じで、手に取るとわくわくしたという記憶があります。
正方形のものって何がある?CDやMD、ハンカチや風呂敷、四畳半の座敷、折り紙、立方体だけれどルービックキューブなんかも正方形のひとつかなぁ。意外と出てこないです。長方形のもののほうが、たくさんあるような気がします。
今、開催中の「感覚サンセーション」は「スクエア」をテーマにしています。展示されている作品はすべてスクエア(正方形)、そのせいかとてもリズミカルな感じを受けます。私のお気に入りは、松本さとみさんの
4枚のスクエアで構成された作品。4枚のうちの1枚は、ニードルパンチの機械編み(あー、今日名前聞いたばかりなのにもう忘れてる)のようなものでできています。その手触りが少しもふもふとして、髪の毛の質感がリアルにでています。おしゃれで、オリジナリティも感じられて、いい作品だなぁと思います。
ところが、正方形の作品が並ぶと、リズミカルでおしゃれな感覚と引き換えに、不安定さと落ち着かなさも感じます。日頃、Fサイズ(長方形)の作品を見慣れているせいもあるかもしれませんが、構図の難しさと正方形そのものがもつ性質がそうさせているのかもしれません。
考えてみれば、書類のAサイズ、Bサイズは長方形だし、封筒なども正方形ってあまりみかけません。長方形があふれている中で正方形(スクエア)を選んだ挑戦は評価されるべきものでしょう。
よくも悪くも、おしゃれでリズミカルだけに終わらなかったこの展示のもうひとつのテーマは「スタイリッシュ」。これには「世俗的であること」も含まれているそうです。世俗的なものは、往々にしてまとまりがなく雑然としている、妙に説得力があるテーマだと、最後に展示者の皆さんから回答をもらったような気がしています。
今週の展示は、上述の「感覚サンセーション」、東京藝術大学油画専攻の4人展、来場特典のZINE(会期中は無料)も面白いので、 是非お手にとってご覧ください。15日まで。